結論を最初に言います。
資産形成の効率という点ではインデックス投資が有利。しかし、「有利」と「続けられる」は別の話です。
私は元金融機関職員として投資信託を販売していた経験があり、現在はインデックス投資と高配当株投資を両方やっています。どちらが「勝る」かではなく、なぜ2つを組み合わせるのかを正直に話します。
インデックス投資は「正しい」。でも万人が続けられるとは思っていない
インデックス投資の優位性は数字で証明されています。S&P500は過去100年間、暴落を繰り返しながらも長期では右肩上がりを続けてきました。低コストで広く分散できて、余計なことを考えずに積み立てる。理屈として正しいことは私も認めています。
ただ、私が金融機関で働いていた頃に見てきた現実があります。
インデックスファンドを積み立て始めた人が、リーマンショックやコロナショックの暴落局面で次々と解約していきました。「含み損に耐えきれずに売ってしまった」という人を、何人も見てきました。
理論的に正しくても、長期投資ができなければ意味がない。これが私がインデックス投資だけに頼らない理由です。
インデックス投資だけで抱える2つの問題
問題① 暴落時に「何もしない」ことへの精神的な負荷
インデックス投資は暴落しても売らずに積み立て続けることが重要です。頭では理解できる方は多いでしょう。
でも、資産が数百万円単位で減っていく画面を毎日見ながら「このまま持ち続けていいのか」と不安にならない人間はほとんどいません。
バフェットも「株式市場はせっかちな人から忍耐強い人へお金を移すようにできている」と言っています。(ダイヤモンド・オンライン)
しかし、せっかちになってしまうのが人間の本能です。
私が日本株が大きく下落した時に耐えられるのは「業績に問題ない銘柄の株価が下がった。割安で仕込める」と感じられたのは、配当金という「下落しても変わらないもの」があったからです。配当金が口座に入ってくる実感がある人とない人では、暴落局面での精神的な安定感はきっと異なります。
問題② 上昇しても「今の生活」が変わらない
インデックス投資で資産が1,000万円から1,500万円に増えたとして、その500万円の増加を生活の中で感じる機会はほぼありません。画面の数字が変わるだけで実質的に使えるお金は増えないため、生活に変化がなく投資の素晴らしさを感じにくいでしょう。
しかし、配当金は違います。年間20万円の配当金があれば、旅行の足しになります。好きなものを食べに行けます。「投資が日々の生活に恩恵を与えている」という実感を持てます。
この実感が、長期投資を続けるための「燃料」になります。
高配当株投資だけでも足りない理由
高配当株投資にも弱点はあります。正直に話します。
純粋な資産形成の効率という観点では、インデックス投資に劣ります。配当金を受け取るたびに約20%の税金がかかるため、複利効果がインデックスより小さくなります。また、業績悪化による減配リスクがあり、個別銘柄を自分で選ぶ必要があります。
さらに言えば、高配当株は一般的に「成熟した企業」が多いため、大きな株価上昇は期待しにくい。インデックスのように経済全体の成長をまるごと取り込む仕組みにはなっていません。
つまり、高配当株だけでは長期的な資産の最大化という目標には非効率です。
私が両方をやっている理由
インデックス投資は「資産の最大化」に最適です。高配当株投資は「投資を続けるためのメンタル管理と生活の実感」に最適です。この2つは役割が違うのです。
私のポートフォリオの考え方
- インデックス投資:長期的な資産の最大化を担当する。30年後の大きなリターンを狙う
- 高配当株投資:今の生活の実感・暴落時のメンタル安定・2035年サイドFIREへの道筋を担当する
高配当株から年間20万円の配当金が入ることで、インデックス投資の暴落局面でも慌てて売らずに済んでいます。これは数字では測れないメリットです。
逆に言えば、高配当株だけだと将来の大きな資産形成が非効率になる。だからインデックス投資も続けています。
どちらが自分に向いているか
| インデックス投資 | 高配当株投資 | |
|---|---|---|
| 資産形成の効率 | ◎ 優位 | ○ |
| 今の生活への恩恵 | × 売却しないと現金化できない | ◎ 配当金が定期的に入る |
| 暴落時のメンタル | △ 数字が減るだけで何も入らない | ◎ 配当金は変わらず入ってくる |
| 手間 | ◎ ほぼゼロ | △ 銘柄選びと業績確認が必要 |
| 投資継続のモチベ | △ 成果を感じにくい | ◎ 配当金という実感がある |
| サイドFIREとの相性 | △ 取り崩す心理的ハードルが高い | ◎ 売らずに配当だけ受け取れる |
インデックス投資一本で向いている人
暴落しても動じない強いメンタルがある人、今の生活に不満がなく30年後の大きなリターンだけを目指している人、投資に時間をかけたくない人。この条件が全部揃っているなら、インデックス投資一本が最も効率的です。
高配当株を組み合わせるべき人
暴落のたびに不安になって売りたくなる人、投資が日々の生活に影響していることを実感したい人、サイドFIREや配当金生活を目指している人。このどれかに当てはまるなら、高配当株を組み合わせることで長期投資を「続けやすくする」効果があります。
よくある質問
Q. 新NISAはどちらに使うべきですか?
純粋な効率だけを考えると、NISA枠は非課税効果が最大になるインデックス投資 (成長投資信託) に使う方が有利という意見があります。ただし高配当株をNISAの成長投資枠で保有することで配当金が非課税になる効果も大きく、私はどちらにも使っています。詳しくはNISAで高配当株を買うと税金はどうなる?で解説しています。
Q. 比率はどのくらいにすればいいですか?
正解はありません。私の場合は「サイドFIREを目指す」という目標があるため、高配当株の比率を高めにしています。老後資金の準備が主目的ならインデックス比率を高くするのが合理的です。まず自分がどちらの「今の生活への恩恵」と「将来の資産形成」をどれだけ重視するかで決めてください。
Q. 高配当株はどうやって選べばいいですか?
私が使っている選定基準は高配当株の銘柄選定基準を解説にまとめています。利回りだけで選ぶと失敗します。
まとめ
インデックス投資と高配当株投資の使い分け
- 資産形成の効率という点ではインデックス投資が正しい
- でも「正しい」と「続けられる」は別の話。暴落で売ってしまっては意味がない
- 高配当株は「続けるためのメンタル管理」と「今の生活への実感」に効く
- どちらが優れているかではなく、役割が違う。自分の目標に合わせて比率を決める
- 投資は続けた人だけが勝つ。続けやすい仕組みを作ることが最も重要
高配当株投資を始めてみたい方は高配当株投資の始め方から読み始めてください。実際の私のポートフォリオは高配当株保有銘柄で公開しています。


