高配当株を選ぶとき、私が最も重視しているのは「連続増配年数」です。配当利回りの高さよりも、何年連続で増配し続けているかを優先して見ています。
なぜそこまで連続増配にこだわるのか。その理由と、連続増配銘柄の探し方・注意点を解説します。
連続増配株とは何か
連続増配株とは、毎年配当金の金額を増やし続けている企業の株のことです。
20期連続増配銘柄であれば、20年間一度も配当を減らすことなく毎年増やし続けてきたということです。この20年間には、リーマンショック(2008年)・コロナショック(2020年)・円安・地政学リスクと幾度もの逆風がありました。それを全て乗り越えて増配できた企業は、ビジネスモデルが強く、財務が健全で、経営陣が株主還元に本気である証拠と言えます。
なぜ連続増配株を中心に選ぶのか
理由① 持っているだけで配当金が毎年増える
高配当株投資で配当金を増やす方法は大きく2つあります。「保有株数を増やす」か「保有銘柄が増配する」かです。後者の「増配」は、自分が何もしなくても配当金が増えるという意味で非常に強力です。株を買い増すには資金が必要ですが、増配は何もしなくても起きます。
理由② 「取得利回り」が年々上がっていく
連続増配銘柄を長期保有すると、最初の購入価格に対する配当利回り(取得利回り)が年々上がっていきます。
配当4万円(利回り4%)の銘柄を100万円分買ったとします。その後毎年6%の増配が続いた場合、株価が変わらなくても以下のように取得利回りが上がっていきます。
| 経過年数 | 年間配当金 | 取得利回り(100万円に対して) |
|---|---|---|
| 購入時 | 4万円 | 4.0% |
| 5年後 | 約5.4万円 | 5.4% |
| 10年後 | 約7.2万円 | 7.2% |
| 20年後 | 約12.8万円 | 12.8% |
株価が変わらなくても、増配によって取得利回りはどんどん上がっていきます。これが「長期保有するほど有利になる」という高配当株投資の本質です。具体的な数字は配当金シミュレーターで試してみてください。
理由③ 業績の安定性が証明されている
配当金を毎年増やすためには、毎年利益を増やす必要があります。「10年以上連続増配」という事実は、その企業が10年以上にわたって利益を増やし続けてきた証明でもあります。決算書を細かく読まなくても、連続増配年数がある種の「業績の信頼性スコア」として機能します。
連続増配を続けられる企業の共通点
共通点① 景気に左右されにくいビジネスモデル
景気が悪くなっても需要が大きく落ちない事業を持つ企業は、業績が安定しやすいです。インフラ・ライフライン・生活必需品・教育など、景気サイクルの影響を受けにくい分野の企業が連続増配銘柄に多く見られます。
共通点② 配当性向に余裕がある
配当性向が30〜60%程度の企業は、増配の余力があります。逆に配当性向が80〜90%を超えている企業は、少し業績が悪化しただけで減配に追い込まれるリスクがあります。「高い配当利回り=高い配当性向」というケースは要注意です。
共通点③ 財務が健全
借金が少なく自己資本比率が高い企業は、不況時でも配当を守りやすいです。財務の強い企業は外部環境が悪化しても自力で乗り越えられる体力があります。自己資本比率40%以上を一つの目安にしています。
共通点④ 株主還元の方針が明確
「累進配当方針」「配当性向〇%以上を維持」など、具体的な株主還元方針を掲げている企業は、減配しにくい傾向があります。IRバンクや会社のIR資料で配当方針を確認する習慣をつけておくといいです。
私が保有する連続増配銘柄の実例
三菱HCキャピタル(8593)|27期連続増配
大手総合リース会社。27年間で配当額が大きく増加してきた銘柄です。配当性向は約42%と適切な水準を維持しており、「配当性向40%以上を維持」を配当方針として明確に掲げています。景気に左右されにくいリース事業の安定性が長期増配を支えています。
ショーボンドホールディングス(1414)|25期連続増配
インフラ補修・補強工事を専業とする会社です。老朽化したインフラの修繕需要は景気に左右されにくく、しかも国内に競合が少ないニッチトップ企業です。財務も優良で無借金経営を続けており、連続増配銘柄の中でも特に信頼性が高いと評価しています。
アイチコーポレーション(6345)|8期連続増配
高所作業車の国内トップシェアメーカーです。電力・通信・インフラ工事での安定した需要があります。連続増配年数はまだ8期ですが、業績の安定性と増配継続の姿勢を評価して保有しています。
ステップ(9795)|連続増配継続中
神奈川県を中心に展開する学習塾の会社です。教育事業は景気の影響を受けにくいディフェンシブな業態で、増配を継続してきた優良銘柄です。あまり知られていませんが、長期保有優待でQUOカードの金額が年々増えていく仕組みも魅力的で、配当+優待を両方狙える銘柄として保有しています。
実際に私が保有している全銘柄は高配当株保有銘柄で公開しています。
連続増配銘柄の具体的な探し方
ステップ1|投資の森でスクリーニング
投資の森(nikkeiyosoku.com)の「高配当」メニューから「配当実績別 高配当」を選ぶと、増配年数別に銘柄を絞り込めます。「10年以上増配」かつ「配当利回り3.5%以上」で絞り込むと、私の銘柄選定基準を満たす候補が出てきます。
ステップ2|IRバンクで財務確認
IRバンク(irbank.net)で以下の4点を確認します。
- 配当推移(10年分):本当に連続増配しているか、増配率は安定しているか確認
- 配当性向の推移:30〜70%程度で安定しているか
- 売上・営業利益の推移:業績が右肩上がりか横ばいか。減少傾向なら要注意
- 自己資本比率:40%以上を目安に確認
ステップ3|配当方針をIR資料で確認
企業のIR資料(決算説明資料)で「配当方針」を確認します。「累進配当」「配当性向〇%以上を維持」という文言があれば、増配継続への意志が明確です。スクリーニングで絞り込んだ後、この確認を怠らないことが大事です。
連続増配株を選ぶときの注意点
注意点① 利益が減少傾向にある銘柄は要注意
連続増配が続いていても、配当の元となる利益が減少傾向にある銘柄は注意が必要です。利益が減っているのに増配が続いている場合、配当性向が上昇し続けていることになり、いずれ減配に追い込まれるリスクがあります。増配年数だけ見て「安全」と判断せず、必ず業績推移をIRバンクで確認してください。
注意点② 「増配すること自体が目的」になっている銘柄に注意
増配率が毎年1〜2円程度しか上がらないような銘柄は、「増配実績を継続するために形式的に増配している」ケースがあります。こういった銘柄は配当の成長が非常に緩やかで、長期保有しても取得利回りがほとんど上がりません。連続増配年数だけでなく、増配率の水準も一緒に確認することが重要です。
注意点③ 減配リスクはゼロにできない
どれだけ慎重に選んでも、減配リスクをゼロにすることはできません。想定外の事業環境の変化・不正・経営判断のミスなど、外部から見えない要因で状況が変わることがあります。私が出した結論は、1銘柄に集中せず複数銘柄に分散投資することが最適解です。10〜20銘柄に分散していれば、1銘柄が減配しても受け取る配当金全体への影響は限定的になります。
連続増配銘柄の探し方まとめ
- 投資の森で「10年以上増配・配当利回り3.5%以上」で絞り込む
- IRバンクで配当推移・配当性向・業績推移・自己資本比率を確認する
- IR資料で配当方針を確認する(累進配当・配当性向目安の明記があるか)
- 利益が減少傾向にないか、増配率が極端に低くないかをチェックする
- 複数銘柄に分散して保有する
連続増配銘柄の選び方全般については高配当株の銘柄選定基準でもまとめています。実際に私が監視している銘柄一覧は監視銘柄一覧で公開しています。
※株価・配当利回りは変動します。購入前に最新情報をご確認ください。本記事は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


